Far Field測定とNear Field測定をやり直し | Scan-Speak Discoveryシリーズで自作2wayスピーカー

前回の記事で問題点を改善するためのエンクロージャーの修正が終わったので、Far Field測定とNear Field測定をやり直します。

前回の測定からの大きな差分は以下です。

これらの変更で前回の測定で気になったピーク・ディップがどれほど改善されたか確認していきましょう。

Far Field測定

前回の記事のポート長78mm, 吸音材追加の状態で測定を行いました。

そのため1.8kHz付近に小さいディップが見れらます。これはポート共鳴によるものです。もう少し調整すれば無くなるかもしれませんが、いったんこの状態で測定しています。

ウーファーの測定結果

(注: 前回測定分は縦軸が40dbの図になってしまっています)

前回 今回
水平方向
垂直方向(天井側)
水平方向(床面側)

水平方向では400Hz付近に見られたディップがなくなっています。これは以前の測定マイクのキャリブレーションファイルの影響で存在したものかと思います。

また1.2kHz付近にあった大きいディップがなくなり、1.8kHz付近へ移動し小さくなっています。これはポート共鳴の調整の効果です。

垂直方向の測定結果はかなり変わってしまっており比較が難しいですが、今回の測定では軸外特性に4-5kHz付近には大きなディップが現れています。

これはデータシートを見ると60度の軸外特性には存在するディップでユニットの特性かと思います。以前の測定では大きくは見られなかったのは謎ですね。ちょうどディフラクションの影響と打ち消しあったりしていたのかもしれません。

総合的に見るとネットワークのクロス周波数以下の帯域ではピークとディップが小さくなっており扱いやすい状態になったと思います。

ツィーターの測定結果

(注: ウーファーと同様に前回測定分は縦軸が40dbの図になってしまっています)

前回 今回
水平方向
垂直方向(天井側)
水平方向(床面側)

3.5kHz付近にあった大きなディップがなくなったことがわかります。これはバッフル板の面取りを大きくしたことが功を奏したのでしょう。

垂直方向(天井側)の特性グラフを見ると大きく改善されたことがわかります。

10kHz以上のあたりのピークが大きくなっているようですが、これは原因はわかっていません。

ツィーターの測定結果もクロス周波数の帯域でのディップが小さくなったことにより、ネットワークを製作しやすくなったと感じます。

Near Field測定

このスピーカーはフロントポートでウーファーとポートの位置が非常に近いです。そのような場合にNear Field測定をどう行うべきかまずは検討します。

KLIPPEL R&D SYSTEMが出しているアプリケーションノートを見ると、ウーファーとポートの中点で測定する方法が記載されています。

そこで中点で測った場合と、ポートとウーファーを別々に測りポート径でマージした結果にどの程度差が出るのか確認してみます。

中点で測定 別々に測定してマージ

90Hz以下の部分で、マージした場合の方が1dBほど低く出ているようです。大きな差ではないですが、どちらを正とするかは悩むところですね。

今回はアプリケーションノートを信じて中点で測定する方法で比較していきます。

ポート長を変えたときのNear Field測定は以下です。

ポート長 測定結果
58mm
63mm
68mm

フラットに近くなるのは68mmの場合です。

ただ前回の測定結果でネットワーク回路のシミュレーションを行ったときに100Hz〜300Hzあたりの低域が膨らむ状態になりました。

今回の測定結果でも大きくは変わらないだろうと予想し、60Hz付近が少しもり上がっている63mmにフィックスしようと思います。

次回の記事

前回の記事で行ったエンクロージャーの修正が成功し、クロスオーバー付近での特性の改善ができました。

この測定値をもとに次はネットワーク回路の設計と製作に入ります。

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