工作とかオーディオとか

作った物について書きます

自作2wayスピーカーのネットワーク回路をシミュレーションして作り直す

f:id:mia_0032:20210508113947p:plain

きっかけ

自作スピーカーを再開しようと思うにあたり、最近の自作環境を調べていたところVituixCADが非常に高機能であることを知り、AudiFillさんが日本語で解説してくれているページを見て一度触ってみることにしました。

ただ、初めてのソフトウェアで、いきなり新規設計で新しくスピーカーを作るというのは冒険しすぎに感じたので、まず手持ちのSB Acousticsのユニットを使った自作2wayスピーカーのネットワーク回路を変えることに着手することにした次第です。

10年ほど前に作ったSB Acousticsの2wayスピーカーですが、他のスピーカーと比べるとボーカル帯域が引っ込む感じがあり、あまり常用されない状態になっていました。

今回の改修でそういった面が改善できたら良いなと思っています。

以前の設計はブログに残っているのですが、だいぶ忘れてしまっている面もあるので、ゼロベースで作り直していきます。

クロスオーバー周波数を決める

まずウーファーとして使用しているSB15NRXC30-8の周波数特性を確認します。

f:id:mia_0032:20210508132857p:plain
ウーファーのSPL

目につくのが6kHzから9kHzにかけての大きな山です。これはツィーターの担当する音域に影響するので潰す必要があるでしょう。

このウーファーは2kHzあたりから音の指向性が高くなっており、正面以外の角度での音圧が下がっています。 ということで、クロスオーバーさせる周波数は3kHz以下にしたくなります。

ツィーターのほうはどうでしょうか。SB25STAC-C000-4の周波数特性を見ると、3.8kHzあたりでガクッと落ちるディップがあります。

f:id:mia_0032:20210508133052p:plain
ツィーターのSPL

このディップを埋めたいと考えると、ウーファーとのクロスは高めに設定した方が良さそうです。

ウーファーは2kHzから3kHzの間にしたい、特に指向性の点から2kHz前半が良いが、ツィーターはできるだけ高い周波数でクロスさせたいという2点を考慮して、クロスオーバー周波数を2.5kHzで設計します。

ネットワーク回路のシミュレーション

ユニットのデータシートから必要な項目を入力します。また箱はすでにあるバスレフボックスを使うので、それもシミュレーションに組み込みます。バッフルステップ補正も入れれば準備完了です。

クロス部分で4次のLinkwitz–Rileyフィルターの特性を目指し、全体としてフラットな特性を狙ったネットワーク回路が以下です。

f:id:mia_0032:20210508104739p:plain
新ネットワーク回路のシミュレーション結果

ツィーターとウーファーについては、過去の計測でインパルス応答で200usだけウーファーが遅いことがわかっています。そのため、それをDriverのウーファーのdelayに指定しています。

ウーファーのネットワーク回路

ウーファーのネットワーク回路を見てましょう。この回路は4次のLCネットワークをベースに2つのディッピングフィルターを組み合わせています。

f:id:mia_0032:20210508131803p:plain
ローパスフィルター回路

後段の0.7mHコイルについているフィルターは、約7kHzを狙っており、先述した6kHzから9kHzにかけての大きな山を潰すためのフィルターです。

前段の0.8mHコイルのフィルターは、500Hz〜1kHzに現れる山を抑えるためのフィルターです。

データシート上はそこまで大きな山ではないのですが、バッフルステップ補正の影響で大きな山ができることがシミュレーションでわかりました。それを補正するために入れています。

ツィーターのネットワーク回路

ツィーター側はシンプルな回路で3次のLCネットワークにアッテネーターを加えただけの回路です。

f:id:mia_0032:20210508131952p:plain
ハイパスフィルター回路

ユニット自体の特性が素直なので特に変わったことはしていません。

ウーファー側が4次でツィーター側が3次とずれていますが、シミュレーション上はこれで位相がぴったりと合うことがわかっています。以下のようにユニットの極性を逆にするときれいにディップが出ます。

f:id:mia_0032:20210508104817p:plain
ユニットを正相にした場合

まとめ

VituixCADは高機能で、このようなシミュレーションがたった3、4日くらいでできました。10年前とは大きく環境が変わっていますね。

このネットワーク回路でどのように音の変化があるのかが楽しみです。

またシミュレーションと実際の特性がどの程度一致するのか検証してみたいと思っています。

参考になった書籍

2wayのクロスオーバー周波数の決定のフローやシミュレーションで回路定数を詰めていく部分が非常に参考になりました。

タカチHITケースのパネルをミスミmeivyに発注

最近はタカチのHIT23-7-18ケースを愛用しているのですが、パネルは単体では販売しておらず入手できません。

しかし加工に失敗したときや後から構成を変えたくなったときに新品のパネルが欲しくなります。

ミスミのmeviyでオーダーメイドの板金加工ができると聞いたので、そのサービスを使って試しにパネルを製作してみることにしました。

3D CADで図面を描く

ミスミのmeviyに発注するには3D CADで描かれた図面が必要になります。そこで個人利用なら無償で使えるAutodesk Fusion360を使ってモデルを作ることにしました。

Fusion360には板金加工用にシートメタルの作成ができる機能があるので、それを使ってパネルのモデルを作りました。

f:id:mia_0032:20201010003504p:plain
3Dモデル

パネルはアルミ製でアルマイト処理をしたいです。アルマイト処理をするためには吊り下げ用の穴が必要ということだったので、電源スイッチを取り付ける穴を開けておきました。

このパネルを1枚、製作を依頼すると3000円程度でした。

出来上がり

1週間程度で物が届きました。

f:id:mia_0032:20201008115441j:plain
届いたパネルと元のパネル

上が元のタカチのケースに付いていたパネルで、下が今回製作してもらったパネルです。

ヘアライン加工の有無が違います。取り付けた感じではヘアライン加工無しでも特に気になりませんでした。若干落ち着いたデザインになります。meivyで表面加工まで指定できるのかはわかりません。

元のパネルは厚みが1.5mmだったようです。1mmかと思って、そう指定したところ少し薄くなってしまいました。次に発注するときはもう少しサイズ調整します。

まとめ

新たにケースを買うよりはパネルを作った方が安いですし、自分では綺麗な加工が難しい角穴などを開けてもらえることを考えると良いと思いました。

パワーアンプの電源回路を検討

パワーアンプの製作を考えているので、電源回路にどういったものを採用するか検討してみました。

出力電圧は15V前後、電流は1Aくらい流すことを想定して、3段ダーリントン接続の電源回路をLTSpiceでシミュレーションしてみました。

特に矩形波を流したときのリギングの状態は見ておきたいので、その点を主にシミュレーションします。

負荷として15Ω抵抗と0-8Vで振幅する500Hzの矩形波を接続した状態を想定します。出力のコンデンサは1000uFとしました。

リップルフィルター回路

まずトランジスタによるリップルフィルターを検証してみます。単純な回路で負帰還はかかっていません。

f:id:mia_0032:20200912123913p:plain
回路

f:id:mia_0032:20200912123314p:plain
出力波形

0.04Vのリップルでした。

上記と同等の回路でドライバー段のトランジスタをPNPトランジスタに変更してインバーテッドダーリントン接続にした回路も試してみました。

f:id:mia_0032:20200912002649p:plain
回路

f:id:mia_0032:20200912002653p:plain
出力波形

リップルは0.001Vとかなり良くなりました。ただ少し波形にひげが出てしまっています。

負帰還をかけた回路

いつも基板を使わせてもらっているお気楽オーディオさんのディスクリート電源Type-Sの回路を試してみます。

f:id:mia_0032:20200912003219p:plain
回路

f:id:mia_0032:20200912003216p:plain
出力波形

リップルは0.00012Vと1桁小さくなりました。この回路も少しひげが出ていますが、とても小さい値で0.00002V程度です。

カニさんのブログに載っていた通電してみんべさん・Sさん式電源改の出力をダーリントンに変更した回路もシミュレーションしてみました。

f:id:mia_0032:20200912122458p:plain
回路

f:id:mia_0032:20200912122455p:plain
出力波形

この回路はさらに小さいリップルで0.00002Vです。1/6になりました。ひげはリップルの1.5倍くらいの大きさで0.00003V程度です。

感想

4つの中ではカニさんのブログの回路が最も優秀な結果でした。

ただ3段ダーリントンで負帰還をかけた回路は発振しやすく、出力のコンデンサを減らすと発振してしまったりする状態でした。負荷のかかり方によっては発振してしまうことも考えられます。

電力増幅段の電源としてはリップルフィルター回路でも十分にリップルを減らせていると感じました。安定していて負荷による発振もあまり無さそうです。

電圧増幅段にはよりリップルの少ない電源を用意したいものの電流はそこまで必要ないですし、負帰還をかけても安定しやすい2段ダーリントンで回路を構成するのが良さそうです。

Amazon.co.jpアソシエイト

©2021 みや All rights reserved.