
本記事では、Wavecor FR085CU03をミッドレンジに採用したコンパクト3wayスピーカーのエンクロージャーについて詳細な設計を解説します。バッフルディフラクションのシミュレーションによるバッフル幅の決定から、ミッドレンジ・ウーファーそれぞれのエンクロージャーの定在波確認までを順に説明します。
前回の記事ではエンクロージャーのシミュレーションまで終わりましたので、今回はエンクロージャーの詳細な設計を行います。
ディフラクションのシミュレーション
本作はエンクロージャーのコンパクト化を優先しているためバッフル板の高さに余裕はありませんが、幅については調整の余地があります。ツィーターやミッドレンジのディフラクションのシミュレーションを行い、影響が小さくなるバッフル幅を探します。デザインアクシスにはツィーターとミッドレンジの中点を設定しました。
まずはツィーター(Wavecor TW022WA09)の方のシミュレーションを行います。変化がわかりやすいようにエッジ丸めは無しとしてバッフル幅を変えた場合の結果が以下です。バッフル幅は160mmあると4.5kHz付近のディップが大幅に浅くなっていることが確認できます。
| バッフル幅 140mm | バッフル幅 150mm | バッフル幅 160mm |
|---|---|---|
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次はミッドレンジ(Wavecor FR085CU03)側のシミュレーションです。先ほどと同じ条件の結果が以下です。こちらについてはそれほど大きな差はありませんが、3kHz付近のディップが小さくなるバッフル幅140mmがネットワーク設計上は自由度が高いと考えられます。
| バッフル幅 140mm | バッフル幅 150mm | バッフル幅 160mm |
|---|---|---|
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両者で適するバッフル幅が異なる結果となりました。どのあたりでミッドレンジとツィーターをクロスさせるかによりそうではありますが、この時点では未確定のため、変化の大きかったツィーター側の結果を優先し、バッフル幅は160mmとします。
エンクロージャーの詳細設計
前回の記事から、ミッドレンジのエンクロージャーは1.5リットル程度、ウーファーの方は4リットル程度+ネットワークボードの容積を確保する必要があります。その条件をふまえた上で背板を取り外せるように構成したのが以下の設計です。

ミッドレンジ+ツィーターは密閉箱としてウーファー側との境界部の板にスピーカーターミナルを設けてネットワークボードと接続する設計です。図面には入れていませんが、ディフラクションの対策として組み立て後にバッフル板を斜めに削る予定です。
エンクロージャーサイズは幅160mm, 高さ316mm, 奥行き240mmとなりました。前作の幅を小さくしたくらいのサイズ感なので、3wayスピーカーとしてはコンパクトな部類に入るサイズです。
今回から3D CADとしてSOLIDWORKS for Makersを使い始めたので、慣れてなくて時間がかかってしまいました。最終的に図面をPDFにして出力したい用途にはSOLIDWORKS 、3Dデータだけ必要な作業はFusion 360と使い分けていけたらと思っています。
定在波の確認
上記の設計としてミッドレンジ側のエンクロージャーの定在波の周波数をシミュレーションで確認します。3方向の定在波の周波数が分散しており、特性への影響は小さいと判断しました。

ウーファー側はL字型形状のため厳密なシミュレーションは困難なため、直方体に近似した条件で簡易的に確認しました。クロスオーバー周波数が400Hzくらいとすれば奥行き方向の定在波への対応を主に検討すれば良いと判断しました。

次回の記事
図面の最終チェックが終わったら発注して、板材が届けば組み立てに進む予定です。





