ネットワーク組み込み後のFar Field測定 | Scan-Speak Discoveryシリーズで自作2wayスピーカー

前回の記事でポートの調整まで終わりました。

ネットワークボードを組み込んで配線したので、次はFar Field測定を行います。その結果から改善ポイントを考察します。

Far Field測定

早速ですが結果から見てみましょう。Far Field測定を行った結果にNear Field測定の結果とバッフルステップ補正のシミュレーション結果をマージしたものです。

ネットワーク込みの総合特性

総合特性の推定Preference Ratingは5.98と6.0を切ってしまいました。ネットワークの設計段階では6.5程度でしたから、だいぶ低くなってしまっています。

念のためツィーターを逆相に接続してReverse Nullの測定も行いました。

Reverse Nullの測定

大きくはないものの、しっかりと現れています。これはシミュレーション通りです。

シミュレーションとの差分

シミュレーションで予測していた特性と実際の測定結果の差分を見てみましょう。

SPLにおけるシミュレーションとの差

一点鎖線が測定結果で点線・実線がシミュレーションのものです。簡単にわかることは以下の点です。

  • 70Hz〜100Hzあたりにディップがある。
    • ポートのチューニング不足か。
  • 100Hz〜200Hzあたりはシミュレーションより高い。
    • コイルのDC抵抗が想定より高い?
  • 1.8kHz付近のディップが大きい。
  • 3kHz〜7kHz付近の音圧が少し低い。
    • ツィーターとウーファーのネットワークのコイルが磁束が干渉しているのではないか。シミュレーションで少し値を上下させるとこのあたりがずれる。
      • ネットワークボード上の距離が近いが、今のネットワークではコイルを4つ使っているので磁束が干渉しない方向にするのが難しい。
  • 7kHzの大きなディップがある。
    • これは以前からわかっていたことでエッジディフラクションによるものではないか。

Spinoramaでも確認してみましょう。

Spinoramaでのシミュレーションとの差

PIRで見ると7kHzより高い帯域での乱れ方が変わってしまっています。これの原因はわからないですが...

他に気になるところは1kHzあたりの膨らみでしょうか。ただ一番大きく効いていそうなのは1.8kHz付近のディップのように見えます。

特性の改善ポイント

これらの結果から以下の2点を改善する方針にしようと思います。

  • バスレフポートのポート径を小さくしてポート長を短くする。
  • コイルの磁束の干渉を避けるためにコイルの数を減らしたネットワーク回路に変更する。

バスレフポートについては、前回のNear Field測定のときについでに測定していた結果を見るにポート長を50mm以下にするとポート共鳴が出ないことがわかりました。その長さまで短くするにはポート径は今の35mmからさらに小さくして28mm程度にする必要があるとシミュレーションからわかります。

コイルについては測定結果の節で述べた理由からです。3つに減らすことができれば磁束の干渉は避けられるでしょう。

一方で上記の改善ポイントに出さなかったエッジディフラクションの件については、もう塗装が終わってしまっておりエンクロージャーを作り直す気力まではないため今回は見送ります。

次回の記事

上記の改善ポイントの修正を行う予定です。

ネットワーク回路を改良しポート径を小さくしたアタッチメントを製作してNear Field測定を行い調整します。

©2023 みや All rights reserved.