前回の記事で選定したウーファー Scan-Speak Discovery 15W/8434G00のスピーカーボックスを設計するにあたりT/Sパラメータを測定する必要があります。
以下の本を参考にしながら、測定を行っていきます。
測定用ツールを製作
まずは測定のためのツールを一式作ることから始めました。
これはフリーエアーの状態、つまり何もユニットに負荷がかからない状態でインピーダンスを測定するためのジグです。
ボルトと板でユニットの磁石部分を挟み込んで固定します。
デルタコンプライアンス法という測定法を行うときに、密閉箱にユニットを取り付けた状態でインピーダンスを測定する必要があります。
そのための密閉箱を製作しました。ユニット自体はクイックバークランプで固定するため取り付けネジ穴は開けていません。
この回路はパワーアンプの出力をオーディオインターフェースのライン入力に戻すためにレベル調整を行うものです。
これらを用いて測定を行っていきます。
測定の様子
T/Sパラメータを計算するには、フリーエアー下と密閉箱に取り付けた状態の2つのインピーダンス特性が必要になるため、それぞれをLIMPを使って測定しました。
測定
48時間経過時
ブレークインを始めて48時間が経過したタイミングで一度測定を行いました。
ユニットA | ユニットB | |
---|---|---|
Fs | 67.35 Hz | 69.35 Hz |
Qts | 0.43 | 0.43 |
Vas | 6.23 liters | 5.56 liters |
まだFsやQtsが高いように感じます。
同じウーファーを使った自作スピーカー エンクロージャー設計法 マスターブック 自作スピーカーマスターブックの作例で測定した結果が掲載されていますが、その値と比べてもFsやQtsは高めに出ています。
そこであと24時間、少し出力を上げてブレイクインを続けることしました。
72時間経過時
追加で24時間のブレークインを行い、72時間経過した後に測定した結果が以下です。
ユニットA | ユニットB | 平均値 | |
---|---|---|---|
Fs | 58.59 Hz | 63.14 Hz | 60.865 Hz |
Qts | 0.36 | 0.38 | 0.37 |
Vas | 8.98 liters | 7.43 liters | 8.205 liters |
だいぶ前述の作例の値に近づいてきました。15cmウーファーの値としても妥当に見えます。そのためこの測定値でいくことにします。
次回の記事
これでウーファーのT/Sパラメータを測定することができたので、ボックスの設計に移れそうです。
ユニットの測定したEBPは約150となっておりバスレフ型向きのユニットです。そのため次回はバスレフ型のボックスを設計していきます。