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ウェーブガイドを使ったデスクトップ小型2wayスピーカーの製作 - 過去記事一覧
- ユニットの検討とウーファーのT/Sパラメータの測定
- パッシブラジエータ型のエンクロージャーの設計
- エンクロージャーの組み立て
- Near Field測定とパッシブラジエータの調整
- Far Field測定とクロスオーバー周波数の検討
- クロスオーバーネットワークの設計
- ネットワークボードの作製
- エンクロージャーの塗装とネットワークの組み込み
- 最終測定と試聴
Wavecor WF120BD03とDayton Audio ND25FW-4を使ったデスクトップ小型2wayスピーカーは以下の記事で完成しました。
しかし、上記の記事や以下の記事で述べたように最終的な特性は少しシミュレーションと差があるようです。
今回の記事ではその原因について探って特性の改善につなげたいと思います。
ツィーター側のインピーダンスの差の調査
先ほどの記事でも述べたように7kHz以降でインピーダンスの実測値がシミュレーションと比較すると最大0.5Ωくらい低いようです。
組み上げた当初は基板のパターン抵抗によるものだと思っていたのですが、銅箔厚を2ozにしておりパターン幅も1cm程度あることから抵抗値だけでこの特性になったとは考えにくいのです。シミュレーションでこの特性になるように抵抗値を上げていくと非現実的な値になります。
基板パターンを見直していたところ下図のようにループになっている部分があることに気づき、これがインダクターのように作用しているのではと思いました。
小さなインダクター(5.6uH)をシミュレーション回路のL-Padの抵抗の直後に入れたところ、インピーダンスの実測値(オレンジ破線)がほぼ一致することがわかりました。
これについては基板パターンの問題であることがわかったためパターンを引きなおして基板の作り直しかなと思っています。
ウーファー側の軸上SPLの差
最終特性の測定の時にウーファーの軸上SPLを測定したところ1kHz付近のピークがシミュレーションより大きく出ているのが気になっていました。
このあたりはちょうどディッピングフィルターで補正している部分なので、その部分を中心に定数を少し変更して実測値に近づくか確認していきます。5.6Ωとなっている抵抗を6.8Ωまで変化させると実測値に近づくようです。
コイルのDCRの誤差やパターン抵抗が考えられますが、少し大きい差には感じられます。ただ抵抗値で変化させることができる部分ではあるので、ここは試行錯誤するしかなさそうです。
低域のSPLの差
シミュレーションと実測値の差の最後が300Hz以下のSPLの差です。下図からシミュレーションと比べて1dB近く落ちてしまっている部分があることがわかります。
これについてはLPFを構成するコイル2つのDCRの誤差とパターン抵抗、その他ケーブルや端子の抵抗によるものではないかと推測しています。シミュレーションではデータシートの値0.17ΩをコイルのDCRとして設定していましたが、0.3Ωまで増やすとこれくらいの差が出るとわかりました。
これの対策としては抵抗を減らすことくらいしかなく、例えばコイルを空芯コイルからコアコイルに変えるといったことが考えられます。
次回の記事
シミュレーションとのズレの原因の見当がついたので、対策をネットワークボードへ反映していこうと思っています。他のスピーカーの製作も進めているので時間はかかるかもしれません。