前作の製作が終わった頃にTwitterで次回作のアンケートをとっていました。結果を見ると汎用ウェーブガイドを使った2wayを希望する方が多かったようです。
次回作は検討中なのでどれを作るのか簡単なアンケート
— みや (@mia_0032) 2023年4月2日
汎用ウェーブガイドを使ったスピーカーは組んだことがないので、簡易的な測定を行って事前に効果を確認しようと思います。
市販されているウェーブガイドだとVisaton WG148RとMonacor WG-300が候補です。
これらをリングラジエーター型ツィーターのPeerless XT25TG30-04に取り付けて試験的な測定を行いました。
フェースプレートの取り外し
フェースプレートはトルクスネジと接着剤で取り付けられています。幸いにも接着剤はやわらかいタイプなので力を入れると外すことができます。ネジを外してから、フェースプレートと本体の隙間にマイナスドライバーを入れて力をかけると剥がれます。
アダプターの製作と取り付け
そのままではウェーブガイドに取り付けはできませんので、アダプターを製作します。WG-300はスロート部分が出っ張っているので高さの調整は必要ないですが、WG148Rの方は平坦なため4mmほどスロートを延長しなければ取り付けることができません。
発注して届いたアダプターを取り付けてからWG148Rを固定します。アダプターのクリアランスがとれてなくて、かなりきつくなってしまいました。
測定用エンクロージャーの製作
測定用にバッフルが交換可能なエンクロージャーを製作しました。バッフルは手抜きをしてマスキングテープで固定しています。テープの段差は少し特性に影響が出るかもしれません。
サイズは縦300mm * 横206mmで後面は開放となっており、バッフルの上下左右は丸めてあります。交換可能なバッフル板の中央にスピーカーユニットがフラッシュマウントされます。
この状態でのディフラクションのシミュレーションは以下です。測定結果はこの特性を差し引いて検討する必要があります。
測定結果
Far Field測定で、軸上1mにマイクを設置しての測定です。製作した測定用回転台を使い、クロスラインレーザーを3台使って位置の調整を行っています。
まずはウェーブガイドをつけないユニット単体での測定結果からです。ディフラクションのシミュレーション通り1kHzのあたりで大きなピークが出て2.5kHzのあたりにディップが生まれていることがわかります。
また指向性もディフラクションの影響のある帯域において乱れています。
15kHz付近から音圧が上昇していますが、これはデータシートの特性を見ると、もともとの特性がそのようなものなのかなと思いました。
次にVisaton WG148Rを取り付けた時の測定結果を見てみましょう。
2〜5kHzにおいてウェーブガイドの効果で音圧が上昇していることがわかります。またユニット単体の時と比べるとディフラクションの影響は小さくなっており、その帯域での指向性の乱れは少ないようです。
軸上SPLで正規化したグラフを見ると、指向性はユニット単体と比べるとスムーズになっており、軸外にいくにつれてきれいに減衰しています。
下図はXT25TG30-04単体とWG148R取り付け時を比較したグラフで点線がユニット単体、実線がWG148R取り付け時を表しています。
5kHz以降は差が小さいのですが、単体でも25kHz付近にあったピークがウェーブガイドの影響か大きくなってしまっているようです。
次にMonacor WG-300を取り付けた結果を見てみましょう。これもWG148Rの結果とはさほど変わらずで、2〜5kHzにおいて音圧が上昇していることとディフラクションの影響が小さくなっていること、指向性がスムーズになっていること、25kHz付近のピークが大きくなっていることが見て取れます。
最後にVisaton WG148RとMonacor WG-300を取り付けた時の比較グラフが以下です。点線がWG148R、実線がWG-300を表しています。
ウェーブガイドの大きさの影響か2〜5kHzにおいての音圧の上昇効果はWG-300の方が強いようです。それ以外には大きな差はなさそうです。
まとめ
ウェーブガイドを取り付けることによって指向性が整いディフラクションの影響も小さくなることがわかりました。
ただこの測定結果を見ると軸上では8kHz付近が谷になっているような音圧特性となっており、クロスオーバーネットワークを組むのが楽になるのかイメージが湧かない感じもあります。
別のツィーターを使って実験してみても良いかもしれません。