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ウェーブガイドを使ったデスクトップ小型2wayスピーカーの製作 - 過去記事一覧
- ユニットの検討とウーファーのT/Sパラメータの測定
- パッシブラジエータ型のエンクロージャーの設計
- エンクロージャーの組み立て
- Near Field測定とパッシブラジエータの調整
前回の記事でNear Field測定が終わりましたので、今回はFar Field測定を行って測定結果からクロスオーバー周波数を検討します。
Far Field測定
ARTAで測定し、VituixCADの「Convert IR to FR」でImpulse responseからFrequency responseに変換します。
測定マイクはCross Spectrum Labが校正したDayton Audio EMM-6を使っています。
今回の測定ではVituixCADのマニュアルに記載されている方法をとっており、各ユニットの測定はそれぞれのユニットの軸上にマイクを設置して行っています。デザインアクシスの位置ではないため注意してください。
スピーカーのバッフル面とマイクの距離を1.5mとして測定を行いました。水平・垂直方向ともに+180°〜-170°の範囲を10°刻みで測定しています。
今回のエンクロージャーは側板片面にパッシブラジエータが搭載されており厳密には左右対称ではないため、水平方向においても左右どちらからも測定しています。
ウーファーの測定結果
ウーファー Wavecor WF120BD03 の測定結果が以下です。バッフルステップの影響もあり700Hzから3KHzあたりに一つの山があります。また4KHzから14KHzにかけて大きなピークがあるため、これらをネットワークでうまく処理しなければならなそうです。
水平方向で見ても3KHzあたりから指向性が乱れてきているようなのでクロスオーバー周波数はそれ以下が良さそうです。
ツィーターの測定結果
ツィーター Dayton Audio ND25FW-4 の測定結果は以下です。1.5KHzから3KHzにかけての山と軸外の7KHzあたりのディップ、15KHz付近のピークが気になります。
エンクロージャー設計の際にディフラクションのシミュレーションにて7KHz付近のディップが少し出ていたのでその影響でしょう。
1.5KHzから3KHzにかけての山も、ディフラクションのシミュレーションで3〜5KHzあたりが凹んでいたのでその影響は大きそうです。
ツィーターのデータシートによると推奨クロスオーバー周波数は2.5KHzのようなので、それ以上でクロスさせるのが安牌かなと思います。
クロスオーバー周波数の検討
上記の周波数特性を見る限りは2.5〜3KHzあたりでクロスさせるのが良さそうですが、指標となるDirectivity Indexを見てみましょう。
赤実線がウーファーのDirectivity Indexで点線がツィーターのものです。
Directivity Index自体は3.5KHz付近までは両方のドライバーで揃っているので、2.5〜3KHzあたりでクロスさせることは問題なさそうです。
ツィーターは1〜2KHz付近に小さな凹みがありますので、なるべく高い周波数でクロスさせた方が良さそうではあります。となると3KHzでクロスさせるのが正解かなと思いました。
ただ両ユニットともに3〜4KHzに落ち込みがあるのが気になるところではあります。
次回の記事
次回はFar Field測定の結果をもとにクロスオーバーネットワークの設計を行います。