ユニットの選定とエンクロージャーの検討 | Dayton Audio RSシリーズで自作2wayスピーカー

Scan-Speak Discoveryシリーズを使った自作2wayスピーカーも残すところは最終測定のみになりました。

マルチウェイスピーカーの製作は設計が多くて楽しいので、新作を作り始めようと思います。

必要な条件の整理

もう10年以上前になりますがSB Acoustics製のスピーカーユニットを使った2wayスピーカーを製作しました。当時は自分の知識があまり無くて結果としてこの2wayスピーカーは音質が微妙でお蔵入りになっています。

エンクロージャー自体は補強板が入っていたりして丈夫に作ってあり、容量も10リットル近くあります。

分解したエンクロージャーの外観

初めて製作した2wayスピーカーということもあり思い入れがあるので、うまく活用できないものかなとParts Expressを見ながら使えそうなユニットを探していました。

やはり元々の設計が15cmのウーファーですので交換品も15cmのウーファーがちょうど良いようです。多少の容量減であれば内部に補強板を追加することで可能です。

ただ流用しようとしているエンクロージャーは一つ問題がありました。当時はスピーカーユニットをバッフル板にそのまま取り付けており、ユニットとバッフル板の段差には気をつかっていなかったのです。

結果としてウーファーとツィーターの距離が数mmしか開いておらず、このままではバッフル板に追加の板をかぶせてユニットを埋め込むような形が取りにくい状態です。数mmの隙間しかない大穴を2つ開けてくれる加工業者はあまりないでしょう。

この問題には頭を悩ませたのですが、どちらかのユニットのフレーム形状が真円ではなく一部を切り取った形になっていればウーファーとツィーターの間の距離を取ることができて、価格は高くなるものの加工可能な業者もあるのではないかなと思いました。

ユニットの選定

上で述べた条件でユニットを調べると良さそうなものが2つ見つかりました。

1つ目はPeerlessのユニットでツィーターは XT25TG30-04 、ウーファーが 830860 という組み合わせです。ウーファー側が切り取られた円形になっています。

Peerless by Tymphany XT25TG30-04 1" Dual Ring Radiator Tweeter

Peerless by Tymphany 830860 5-1/4" PPB Cone HDS Woofer

ツィーターのXT25TG30-04は非常に特性が整っており、一度は使ってみたいと思っているユニットでした。

どちらも安めの価格でこの組み合わせに決めかけていたのですが、前日まであったウーファーの在庫が購入しようと思った当日には数ヶ月待ちという状態になってしまいました...


そこで別の組み合わせを探して見つけたのがDayton Audio RSシリーズです。

Dayton Audio RST28A-4 1-1/8" Reference Series Aluminum Dome Tweeter with Truncated Faceplate

Dayton Audio RS150-8 6" Reference Woofer

国内のショップではRST28A-4は真円のフレームのものしか販売されていませんが、Parts Expressには切り取られた形のフレームのものがあるようです。

これまで製作してきたスピーカーでは金属の振動板のユニットを使ったことがあまりなかったので、音を聴いてみたいという気持ちになりました。

RST28A-4のデータシートを見る限りは指向性は15kHzあたりまでは整っているようですので前作よりは整えやすいのではないでしょうか。

ツィーターが決まったので、ウーファーは同じシリーズの金属コーンを使ったRS150-8が良さそうです。

RS150-8のデータシートを見ると1.5kHzや2.7kH付近のディップが気になります。同じコーンならRS125の方が特性が整っているのですが、前述の通り12.5cmでは今回のエンクロージャーには小さすぎるので15cmの方を選択しました。

少し価格が高くなってしまいましたが在庫があるうちに注文しました。

エンクロージャーの再利用可能性の検討

エンクロージャーが本当に再利用できるのか検討したいと思います。

エンクロージャーの容積を増やすことは難しいものの減らす方向であれば可能というのは前述した通りで、問題になるのはバッフル板のサイズやユニット位置が影響するディフラクションです。

VituixCADを使ってシミュレーションします。エンクロージャーには10mmほど角を丸める加工を行う予定なので、それを含めます。

ウーファーのディフラクション

ツィーターのディフラクション

問題になるようなピーク、ディップは小さいので大丈夫でしょう。

次に内部の定在波を確認します。

製作した当初の知識不足から幅と奥行き方向の定在波の周波数がかぶってしまっており、強く出てしまう懸念があるとわかりました。

現状のエンクロージャーの定在波

内部の幅方向に5.5mmの板材を貼り付けることで1cmほど縮めます。そうすると定在波の周波数をずらすことができ、かぶるピークを小さくできました。

幅方向を縮めたときのエンクロージャーの定在波

エンクロージャー容積が8.8リットルで足りるのか念のためシミュレーションして確認しておきましょう。RS150-8のデータシートのスペックを元にバスレフ型でします。

バスレフ型エンクロージャーでのシミュレーション

ポートのチューニング周波数を48Hzとしたときにほぼフラットな特性が得られるようです。詳細な設計はT/Sパラメータ測定後にやると思いますが、容積についても大きな問題なさそうです。

ユニットが到着

スピーカーユニットが届いたのでブレークインから始めます。

ウーファーのブレークイン

次回の記事

Dayton Audioのスピーカーユニットを使ってブックシェルフ型の2wayスピーカーを作っていきます。

次回はウーファーのT/Sパラメータの測定を行ってエンクロージャーの修正設計です。

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