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ウェーブガイドを使ったデスクトップ小型2wayスピーカーの製作 - 過去記事一覧
- ユニットの検討とウーファーのT/Sパラメータの測定
- パッシブラジエータ型のエンクロージャーの設計
- エンクロージャーの組み立て
- Near Field測定とパッシブラジエータの調整
- Far Field測定とクロスオーバー周波数の検討
前回の記事の測定で得られたデータを使ってWavecor WF120BD03とDayton Audio ND25FW-4のクロスオーバーネットワークを設計していきます。
ネットワーク回路の設計
前回の記事でDirectivity Indexを見て3kHzあたりでクロスさせるのが良いと検討をつけました。実際にシミュレーションを行いながらクロスさせる周波数を変えて試したところ、確かにそのあたりが良さそうです。
LR4でつなげるかLR2にするかもシミュレーションしてみましたが、LR4の方が両ドライバーの位相が比較的合うようです。
LPF側が4次のフィルタでHPF側は3次になりました。ReverseNullはそこまで大きく出ていません。
LPFの後段のコイルにはコンデンサを並列に接続しており、これによりウーファーの高域のブレイクアップの帯域を抑えています。
その後に入っている回路はディッピングフィルターで、1kHz付近と200Hz付近のふくらみを潰すために入れています。
HPFはあまり変わったところはありませんが、3次のフィルタに並列して入っているコンデンサで1kHz付近を少し落としています。これはツィーター の推奨クロス周波数が少し高めだったので念のためくらいの感覚です。
ツィーターと並列に入っているCRはインピーダンス補正というよりは20kHz以上の帯域を落とすためのものです。
設計した回路でシミュレーションした特性はきれいで、軸上とListening Windowが15kHzの小さなピークを除くと60Hzからフラットです。
PIRも直線的に伸びていて良い感じです。
最低インピーダンスがかなり低めなので半導体アンプでないと駆動するのが厳しいとは思います。
前作の同式でのシミュレーション上の推定PreferenceRating (9)式 は6.5程度でしたが、今作では6.6とスコアが伸びました。
今作はウーファーが小口径な分、LFXが高めになっていることを考慮すると、NBDのON/PIRとSM_PIRが大きく改善した点が効いているのでしょう。
(9)式と定数を揃えたカスタム式では約6.9となりました。
ウェーブガイドを搭載したツィーターの効果が出ていますね。
サブウーファーを追加した場合のスコアをwith subのチェックをONにして出してみると約9.3となりました。
基板の設計
回路はできあがりましたが、LPF側は素子の数が結構多い回路になりました。
今作はエンクロージャーが小型なためネットワーク回路を格納するスペースも小さめです。ネットワークボードの大きさがわからないまま製作に入ってしまうと、エンクロージャーに入らなくて後悔するかもしれません。
そこでKiCADでネットワークボードの基板パターンを描いてみました。結果としてはLPF側はぎりぎりでしたが、何とかエンクロージャーに収まりそうです。
HPFとLPFが一枚になっていますが、実際には切り離して取り付け位置も離して取り付ける予定です。
LPFの4次フィルタ回路とHPFはフィルムコンデンサと空芯コイルの構成で描いています。LPFのディッピングフィルターの部分は基板スペースの関係で電解コンデンサとコアコイルを使っています。
2層基板として設計していますが、レジストがあるとはいえ抵抗とコイルの本体部分は絶縁性に不安があるので、表面はコンデンサの下にしか配線を通していません。
部品が届いたらフットプリントに問題ないか確認して、細かい警告を修正していきましょう。
次回の記事
見直してみてネットワーク回路に問題がなさそうなら、次回はネットワークボードの製作の記事になりそうです。