DC/DCコンバータを使った正負電源基板の製作

前回の記事でスイッチングACアダプタのノイズフィルタ基板を製作しました。

実際にアンプの製作を行うには正負電源が必要になることが多いです。ACアダプタを2つ使って構成することも可能ではありますが、見た目があまりスマートではありません。

そこで、前記事のノイズフィルタ基板の後段となるDC/DCコンバータを使った正負電源基板の製作を行いました。

製作したDC/DCコンバータ基板

DC/DCコンバータはTDK-LambdaのCC-Eシリーズを使います。

選択した理由は全体がシールドされており漏洩ノイズの観点から良さそうだったのと入手性の良さからです。

製作したDC/DCコンバータ基板

3W, 6W, 10Wのそれぞれの形状に合わせて3パターン製作しました。部品を取り付けると以下のようになります。

部品を取り付け済みDC/DCコンバータ基板

この基板にはCC-Eシリーズのデータシートに記載のあるものや、絶縁型DC/DCコンバータ用超低ノイズフィルタ | RECOMようなノイズ対策を行っています。

具体的には

  • 出力+, -, GNDに対してフェライトビーズの挿入
  • 出力-から入力-に対してコンデンサの追加 (10Wタイプは内部で行われているので追加無し)

を行っています。

定電圧電源基板の製作

上記と合わせて、さらなる出力ノイズ低減のための定電圧電源の基板を製作しました。回路はインバーテッドダーリントンで更に高音質化 - 趣味のページを使わせていただきました。

製作した定電圧電源基板

DC/DCコンバータを使った場合、負荷として接続できるコンデンサ容量が規定されており、またそもそもの電圧の安定度が高いためあまりコンデンサを並べる必要がありません。

そのため、省スペースで小さい電源基板を作ってしまおうとなったわけです。

製作した電源基板の評価

オシロスコープを使ってDC/DCコンバータの出力ノイズを測定しようと思ったのですが、ノイズの回り込みがひどく全く信頼性のある値が取れません。

差動プローブがあれば正確な値を取れそうだとはわかったものの、価格が高く手が出せません。困っていたところ以前、パワーアンプ基板を使わせていただいたnabeさんが自作していました。基板を頒布していただきまして、うまく測定することができました。ありがとうございました。

まずはコンデンサのみを通したDC/DCコンバータの出力ノイズです。このノイズは固定の負荷をかけた状態で測定したものです。

コンデンサのみを通したDC/DCコンバータの出力ノイズ

差動アンプ自体のゲインが100倍なので値は1/100のはずですが、そうすると2mVp-pくらいでかなり低い値になってしまいます。

データシート上はDC/DCコンバータ単体で30mVp-pくらいのようなので、ここまで低くなっているのは値としてはちょっと怪しいかもしれません。

この記事では値自体というより、後段のフィルタがどの程度出力ノイズに効いてくるのかが重要なので、値自体の信頼性についてはまた後日検証しましょう。

フェライトビーズを通った後の出力ノイズ

フェライトビーズを通るとスパイクノイズがかなり小さくなり、全体のレベルも半分程度まで下がっています。

定電圧回路を通した出力ノイズ

スパイクは残っていますが、全体の電圧の安定性はかなり向上しました。

各図のFFTの結果を見るに、各段階で想定される帯域への効果があったものと見えます。

おわりに

製作した基板は一定の効果があり、小型に仕上がったので狙っていた機器の小型化に寄与しそうです。変動負荷をかけた状態の測定についてはまた機会があればやりたいですね。

次はこの基板を使ってヘッドホンアンプを組んでみようと思います。

ヘッドホンアンプの方が耳元で鳴る分、パワーアンプよりはノイズに敏感であると思うので、まずはそこで試したいという思いがあります。

再計測

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