スイッチングACアダプタのノイズフィルタ基板の製作

スピーカー測定に使っているパワーアンプは、ウーファーの測定時にはそれほど気にならなかったのですがツィーターの測定時にはホワイトノイズが結構気になることがわかりました。

また前回の測定のような外で測定を行う場合にはもっと軽い方が持ち運びが楽です。

ノイズを減らすことと軽量化という2つの目的を達成するためにアンプの電源回路の検討を始めます。

トランス式電源では軽量化の目的は達成しにくく、トランス容量を減らすくらいしか方法はありません。あまり容量を減らすと低音域の測定への影響が心配されます。

そこでスイッチング電源を使ってみることにしました。

スイッチング電源のノイズ

スイッチング電源は構造上、スイッチング周波数においてスパイクノイズが出ることがあり、それが聴感上でも影響を与える可能性があります。

手元にあった秋月電子GF12-US0520に100mA程度の負荷をかけた状態で出力をオシロで計測すると以下のようなノイズが出ていることがわかります。

スイッチングACアダプタのノイズ

35usくらいの周期で80mVp-pくらいのスパイクノイズが乗っています。

ノイズフィルタの実験基板の製作

出力ノイズを軽減するためにフィルタ回路を製作することにしました。

先人の知恵を検索してみると通電してみんべ - DC/DC電源のノイズ対策という記事が見つかりました。

記事を読ませていただいたところ、コモンモードとノーマルモードの双方の対策が必要で、そのあたりのフィルタをどこまで強くかけるかは結果次第で判断という感じがしました。

記事の回路図に参考にさせていただいてフィルタ回路の実験基板を製作しました。

ノイズフィルタの実験基板

フェライトビーズ+コイルの簡単な回路の方で、もしコモンモードコイルや追加のコイルが必要となれば基板を作り直そうとは思っていました。

部品を実装した姿がこちらです。

部品を実装した基板

部品をいくつか変えて3パターン作ってみました。

フィルタ基板の実験結果

フェライトビーズを通過後の波形

まずはフェライトビーズを通した後の波形がどうなるか確認しました。

全体的にノイズは減って約45mVp-p程度まで減っています。

コイルを通過後の波形

次にコイルを通過した出力の波形を確認しました。フェライトビーズ通過時点と比較して特に大きな差は見られませんでした。

まだ結構ノイズが残っているので、もう少し減らせないか回路を検討する必要がありそうです。

ACアダプタを交換

フィルタ回路を改修する前に、ACアダプタ自体を交換して出力ノイズがどの程度変化するか確認してみました。

今回、比較対象として同じ5V出力(USB)のスマートフォン向け充電器を2種類を加えました。

USB ACアダプタ(1)

何もフィルタをつけない状態の波形が以下で、約16mVp-p程度の変動があります。

ACアダプタの出力波形

上で製作したフィルタ回路を通した波形が以下です。

フィルタ回路を通した出力波形

秋月のACアダプタと比べてノイズがかなり小さくなっており、約8mVp-p程度になりました。

ただ10msのレンジで見るとAC電源由来と思われる変動が取り切れておらず、約12mVp-p程度の振幅があります。

10msのレンジでの出力波形

USB ACアダプタ(2)

ACアダプタの出力波形

このACアダプタは何もフィルタをつけない状態でも約10mVp-p程度の変動しかありません。

フィルタ回路を通したの出力波形

フィルタ回路を通すと約6mVp-p程度まで変動が小さくなりました。また12.5kHz程度の大きな波もなくなっています。

このACアダプタは優秀で10msのレンジで見てもAC電源由来の変動が見られません。

10msのレンジでの出力波形

おわりに

製作したフィルタ回路は効果があり、ACアダプタによってはノイズを気にならないレベルまで低減できることがわかりました。

ACアダプタによってはスパイクノイズが結構残ってしまう結果となったものもあります。それらのACアダプタを使うのであれば、フィルタ回路をもう少しチューニングする必要がありそうです。

改良版の製作編

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