
以前の記事で紹介した「片方向AT連動フロント提灯」を機能させるには、ベースとして可動範囲が大きな非連動提灯が必要になります。
この要件を満たすには、アームの根本にヒンジを使った提灯が良いため、私のマシンではこの方式を採用しています。
今回は、複雑なカーボン加工を極力減らした、私なりの「ヒンジ部分の作り方」をご紹介します。
提灯側の構造と加工方法
提灯側のヒンジ基部には、MSシャーシ マルチブレーキセットに含まれるヒンジ用パーツを加工し、そこに中空ピンを打ち込んで製作しています。

提灯側の加工手順
- マルチブレーキセットのパーツから、ネジ穴とシャフトが入る部分だけを切り取る。
- 六角穴の開いている側の上面が少し膨らんでいるため、プレートに接する面を平ヤスリやデザインナイフで平らに整える。
- 提灯の基部に、切り取ったヒンジ部品をネジ止めする。
- 左右の六角穴部分にまっすぐなシャフトを通し、シャフトが提灯に対して垂直になるよう位置を調整する。
- ネジ止めした部分の隙間に瞬間接着剤を流し込み、ヒンジ部品の位置を完全に固定する。
- 2mm中空プロペラシャフトから切り出したピンを、六角穴にハンマーで打ち込む。
補足として、手順6でピンを打ち込む際、あらかじめ六角穴を1.9mmのドリルで軽く広げておくと作業がしやすくなります。あるいは、中空ピンの表面にダイス等でネジ切りをしておき、接着剤を塗布したうえでネジのように回し入れる方法も可能です。
中空ピンの長さは、後述するシャーシ側の固定ビスの間隔にギリギリ収まる寸法で切り出します(記事末尾の完成写真を見ていただくとイメージしやすいかと思います)。
手順5で接着剤を使ってヒンジ部品を固定しているのは、コースアウト時の強い衝撃でアームの位置がずれてしまうのを防ぐためです。
MEシャーシで使う場合
左右のヒンジを一本の長いシャフトで繋がず、独立したピンを打つ形にしているのには理由があります。MEシャーシの場合、ここにシャフトが通っていると、モーターカバーをスライドして外す際に干渉してメンテナンス性が落ちてしまうためです。
なお、MEシャーシで写真と同じ位置に取り付ける場合、切り出したヒンジ部品の幅をノコギリ等で1〜2mmほど詰めておくと、モーターカバーのスライド干渉を完全に回避できます。
補足:組み立て手順の別案
現在の「接着してから最後にピンを打ち込む」手順(手順5→6)の場合、打ち込みの衝撃でヒンジ部品が剥がれたりずれたりしないよう、パーツの中央のくぼみ部分にうまく土台を置いてしっかり支えながら叩く必要があります。
これを回避する未検証のアイデアとして、「先にヒンジ部品へ中空ピンを打ち込んでおき、中空ピンの穴に1.4mmプロペラシャフトを通して左右が一直線になるよう位置決めをしてから、最後に提灯へ接着固定する」という手順も考えられます。ご自身のやりやすい方法で試してみてください。
シャーシ側の構造と部品の製作手順
シャーシ側の軸受けとしては、アルミシャフトストッパーを使うのが最も簡単です。しかし、このアルミ部品は1つ約0.8gあり、フロント周りの重量増につながってしまうのが難点でした。

そこで、プラ製の代替部品を自作して軽量化を図っています。材料として使用するのは、カーボン強化リヤダブルローラーステーに付属している中央がくぼんだスペーサーです。このスペーサーの側面に横穴を開けて軸受けにします。

ドリル位置決め用治具
左右で使う2つのスペーサーの同じ位置に正確な穴を開けるため、写真のような簡易的な治具を組んでドリルの位置決めを行っています。

ベースとなる金属プレートは、汐見板金さんの「ボールリンクプレートドリリング プレート」です。そこにビスを通し、左から順に「アルミシャフトストッパー → ベアリングスペーサー → 加工するプラ製スペーサー → 1mm程度にスライスしたゴム管 → アルミシャフトストッパー」の順番で挟み込んで固定します。
ポイントは間に挟んだゴム管です。これを潰すようにシャフトストッパーのネジを締めてテンションをかけることで、穴開け中のスペーサーの回転ズレや位置ズレを確実に防ぐことができます。
スペーサーへの穴あけ
治具で固定できたら裏返し、プレートの中央の穴からドリルを入れて貫通させれば加工完了です。
治具から取り外した後にバリを取り除き、必要に応じて穴を拡張します。ピンの太さが約2mmですので、2.1〜2.2mmくらいまで穴を広げておいた方が、提灯の可動がスムーズになるのでおすすめです。
組み立て方法
最後に組み立てです。シャーシ側にビスを立てて、加工したプラ製スペーサーを通します。スペーサーの横穴に提灯側のピンを差し込み、スペーサーの上部をロックナット等で締め込んで抜け防止をすれば完成です。

カーボンの複雑な組み継ぎ加工といった難易度の高い作業は必要なく、プラ部品の加工と比較的簡単な手順で、可動範囲の広いヒンジ式非連動フロント提灯を製作することができます。
同じようなギミックの製作で加工方法に悩んでいる方の参考になれば幸いです。