工作とかオーディオとか | 測定で作る自作スピーカー製作記

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【ミニ四駆】 FM車とRM車の違いを整理する|片軸限定でFM-Aを選んだ理由

2025年最後のステーションチャレンジ(5thラウンド)は片軸モーター限定でした。

1stラウンドではFMVZ、3rdラウンドではVZ(正転)とシャーシを変更して試行錯誤してきましたが、3rdのVZはどうも正転らしい軽快な走りを引き出しきれず、セッティングが噛み合っていない感触が残りました。

1stラウンド(左)と3rdラウンド(右)で使用したマシン

そこで今回は、自分のギミック構成とシャーシの相性を見直すために、「FM車とRM車の違い」を整理してみます。

はじめにお伝えしておきたいのですが、この記事はあくまでシャーシごとの「理論的な背景と特性の違い」を自分なりにまとめたもので、これを読めばセッティングの答えが出るものではありません。

コースレイアウトや搭載するギミックによって最適解は常に変わるため、マシンを調整する際のヒントにしていただければ幸いです。

フロントモーターとリアモーター

片軸モーター車には、モーターがフロント側に配置されるフロントモーター(以下、FM)とリア側に配置されるリアモーター(以下、RM)があります。

プロペラシャフトでモーターの反対側のホイールの駆動を伝える点が共通の特徴です。

近年の代表的なシャーシとしてはFMではFM-A、RMではVZ・S2・ARシャーシなどがあげられます。

平面(ストレート / コーナー)での差

駆動輪の差

片軸シャーシを調整していて実感するのは、「モーターが配置されている側の駆動が強く、プロペラシャフトを経由する側は相対的に駆動が弱まりやすい」という点です。つまりFM車ではフロント、RM車ではリアの駆動が強くなります。

原因としては、負荷時のプロペラシャフトのたわみや、複数のギヤを介する伝達ロスなどがありそうです。

片軸のタイヤセッティング

実際のセッティングでは、駆動の強い側に高グリップタイヤ、反対側に低グリップタイヤを装着するのが定番です。

プロペラシャフトはピニオン接着などの補強を行ってもトラブルが多い部分です。プロペラシャフト側に高グリップタイヤを装着すると、着地の衝撃やタイヤロック時に大きな負荷がかかり、破損リスクが高まります。

そのため、「モーター側でしっかり駆動を稼ぎ、反対側はグリップを落として駆動系への負荷を逃がす」というアプローチは、理にかなったセッティングだと言えます。

フロントローラーからのダウンフォース

タイヤの実効グリップは、フロントローラーのスラスト角にも大きく影響されます。

走行中、フロントローラーが壁に抵触することでフロントが地面に押し付けられ、結果としてフロントの実効グリップが増える場面があります。一方で、その反作用としてリア側の荷重が抜け、後輪のグリップが落ちる方向に働きます。

RM車の場合、「本来グリップを逃がしたいフロントに荷重が乗り、しっかり蹴ってほしいリアの荷重が抜ける」という逆の挙動になりやすく、ここがセッティングの難しいポイントになります。

そのため、フロントにはローフリクションよりも低グリップな縮みタイヤを使用するケースがあり、リアタイヤはさらにグリップの強いタイヤを採用することもあります。また、ATバンパーなどを調整して「コーナーリング時のみスラストを抜く」といったアプローチも有効です。

とはいえ、「前輪のグリップが欲しいFM車なら、スラストの恩恵を受けられるから常に有利か」というと、そう単純でもありません。

コーナリング時の力のかかり方

以下の記事でも触れられているとおり、前輪のグリップが高すぎるとコーナリング速度が落ちる要因になり得ます。ミニ四駆は壁に向かって走るため、前輪にかかる力の一部が減速方向に作用するためです。

www.f1engineer-jp.com

この影響は、前輪のグリップが高いほど大きくなります。

そのため、フロント側のグリップが上がりやすいFMでは、コーナリング速度とのトレードオフをどう作るかが課題になります。

平面コースでのまとめ

FM車では、ストレート速度とコーナリング速度の両立という、タイヤグリップのバランスを取る必要があります。

RM車の場合はリアの高グリップタイヤがストレート速度とコーナリング速度の両方へ寄与します。一方でフロントの接地をどう緩めるかが調整のポイントになります。

いずれも一長一短で、求める挙動やコースレイアウトによって適性が変わってきます。

立体コースでの差

重心位置の違い

FM車とRM車では、モーターおよび電池といった重量物の配置が異なるため、重心位置に明確な違いがあります。 FM車は重心が中央寄り、RM車は後ろ寄りになりやすい、という違いが出ます。

重心位置とジャンプ姿勢

ジャンプ姿勢(前傾・後傾)に重心位置の差が関係します。以下の記事でも指摘されているように、離陸時の重量バランスが姿勢に影響します。

note.com

実際の走行感覚としても、FM車は重心が中央からやや前寄りにあるため、自然と前傾姿勢を作りやすい傾向を感じています(リアの重量を増やせば当然後傾へと変化します)。

一方でRM車を前傾に寄せるには、前後バンパーの重量やマスダンパーの配分次第で、追加の調整が必要になることがあります。

  • フロント提灯のマスダンパーを重くして重心を前に寄せる
  • リアのマスダンパーを重くしてバウンドの出方(タイミング)を調整する

といった調整が必要になることがあります。私が3rdラウンドで使用したマシンは前者の構成を採用して姿勢を整えました。

姿勢制御ではフロント提灯とリフターの動作も関係します。 提灯やリフターによる姿勢補正も一定範囲では効きますが、それも「離陸時の初期姿勢がある程度水平に保たれていること」が前提になっているという感覚があります。

重心位置によるフロントローラー食いつき・ブレーキ効きの差

あくまで体感ですが、ジャンプ後のエアターンではFM車の方がフロントローラーが壁に食いつきやすく、弾かれにくい傾向を感じます。 また前荷重のぶん、フロントブレーキの効きが安定しやすい印象もあります。

これらの点については単なる重心の差だけでなく、RM車の多くはしなりを持つ設計になっており、その設計差もこれらの挙動に影響している可能性があります。 しなりは制振性に寄与すると言われており、両者の差は単純な「剛性の高低」ではなく、狙っている走行特性の違いとして捉えた方が近いのかもしれません。

なぜFM車を選んだのか?

こうしてまとめてみると、同じ片軸という括りであっても、FM車とRM車では駆動のかかり方や重心位置の違いから、求められるセッティングがかなり異なることが見えてきます。

私のマシンは、「フロントのスラストが抜けないように固定する」「フロント提灯のマスダンパーでジャンプ姿勢を制御する」という構成を基本にしています。こうしたセッティング手法は、フロントのグリップを重視し、重心が前寄りにあるFM車の特性とよく合っていると感じました。そのため、最後の5thラウンドではFM-Aを選択しました。

5th ラウンドで使用したFM-Aのマシン

実のところ、3rdラウンドのVZと5thラウンドのFM-Aは、搭載しているギミック自体はほぼ共通です。3rdラウンドのVZで「ギミックとシャーシが合っていない」と感じた背景には、こうしたシャーシの根本的な特性の違いがあったのだと整理できました。

この記事を書きながら、次にRMを作るなら「ここをこうすれば良さそう」という当たりもいくつか見えてきました。 今後も、FMとRMそれぞれの特性を比較しながら、引き続き検証を重ねていくつもりです。

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