
Wavecor FR085CU03をミッドレンジに採用した3wayスピーカーの製作記事ですが、前回の更新からおよそ2年が経ちました。ようやく製作を再開したため、連載も再開します。
エンクロージャーの組み立て
今回も木材加工はストーリオ - 日曜大工応援隊!に依頼しました。届いた木材を仮組みして、正しく組み立てられることを確認するところから始めます。いつも通り加工精度が高く、問題なく組めることを確認しました。

続いてバッフル板の裏面、スピーカーユニットの取り付け部を面取りします。開口部の空気の流路を広げるためで、ミッドレンジとウーファーの取り付け部にのみ行います。
この加工は木材加工の段階で依頼することもできますが、スピーカーユニットの取り付け穴を避けた面取りになるため加工数が増え費用がかさみます。そのため手作業で対応することにしました。
加工は彫刻刀で粗削りしたあとに木工用のヤスリで仕上げています。ルーターがあれば短時間で終わる作業ですが、手作業でもそれほど時間はかかりません。なお写真で板が黒くなっている箇所は手袋の汚れが付着したものです。

タイトボンドを塗りクランプで圧着します。組み立て順は精度を出すために、基準面となる板の端から順に接着していきます。
端面から内側に位置する板(本作ではミッドレンジとウーファーの間の板など)については、補強板の位置や木口面を調整して基準面を確保するようにしています。設計段階で組み立て手順を想定しておき、各部品に基準面を確保することが精度を出すうえで重要です。

天板を接着する前に、ツィーターとミッドレンジをネットワークボードに接続するためのスピーカーターミナルと配線を組み込みました。天板接着後でも取り付けは可能ですが、作業スペースが狭くなるため先に組み込んでおきます。

使用したスピーカーターミナルは金メッキされたナットが使用されていましたが、磁石にくっつくようだったので、念のため非磁性の真鍮製ナットに交換しました。

天板を接着して、あとはバッフル板の接着を残すのみです。ようやく箱型になりました。

エンクロージャー方式を密閉型に変更
前回までの予定ではウーファーのエンクロージャーをバスレフ型にする計画でした。バスレフ型を採用すれば低域を伸ばすことができ、12cmウーファーとしては十分な低域の伸びが得られます。
しかし12cmウーファーで出せる低域は限られており、前作の15cmウーファーを使った作品などと比較するとひかえめになります。ニアフィールド用途のスピーカーとして単体での使用での低域の量感を優先すべきかどうか、疑問が残っていました。
そこで現在考えているのは、ウーファーを変更してエンクロージャーを密閉型にする案です。密閉型は低域の落ち込みが早く始まるものの、バスレフ型のようにストンと落ちるわけではなく最低域までなだらかに減衰していきます。さらに群遅延が小さいのも特徴です。
ニアフィールドでの使用を想定すると、イコライザーによるローブーストやサブウーファーとの組み合わせがしやすい密閉型に利点があると考え、この方針で進めることにしました。特にイコライザーを使う場合においては、ウーファーとミッドレンジが分かれている3wayという構成がローブーストしても中高音域に影響を与えにくいため、2way構成やフルレンジ構成と比較してもアドバンテージがあると考えています。
密閉型に適したウーファーへの変更
以前の設計で使用する予定であったウーファーはSB Acoustics SB12CACS25-4でしたが、このスピーカーユニットはEBPが実測値で約137です。EBP(Efficiency Bandwidth Product)はFs/Qesで算出される値で、100以下が密閉型に適しているとされています。そのため、別のウーファーへの変更を検討しています。
12cmという口径で密閉型に適したウーファーは選択肢が限られますが、ミッドレンジと同じWavecorからWF120BD06が出ています。データシート上のEBPはちょうど100となっており、密閉型での使用が可能です。VituixCADでのシミュレーションでも内容積4Lでなだらかな低域特性が得られることを確認しました。
同じWavecorのユニットということで音色のつながりも期待して、WF120BD06への変更を検討します。
次回の記事
密閉型への変更にあたり、新しいウーファーのT/Sパラメータ測定やエンクロージャーの修正が必要になります。その点について詳しく書く予定です。これまで密閉型のスピーカーは製作していないため、新しい挑戦になります。