
前回の記事で吸音材とパッシブラジエーターの調整を終えました。 今回はその仕上げとして、最終的なトータル特性の測定結果と、DIY Loudspeaker Builder’s Meeting 2025に参加して感じたことをまとめたいと思います。

測定結果
クロスオーバーネットワークを組み込み、デザインアクシス(ツィーターとウーファーの中点を設定)を基準としてFar Field測定を実施しました。 さらにNear Field測定を別途行い、Far Field測定の結果に合成して最終的な周波数特性を求めています。
VituixCADを用いたFar Field測定とNear Field測定の特性の合成手順については、過去のバスレフ型2wayスピーカーのクロスオーバーネットワーク設計の記事に手順をまとめています。





軸上特性はシミュレーションとほぼ一致しており、Listening Windowでは10kHz以上で最大約2dBの上昇が見られますが、原因は特定できていません。 全体としては70Hz〜20kHzの範囲で±2dB以内に収まり、非常に素直な特性です。
推定Preference Ratingは6.33で、低域の再生限界がやや高めであることを踏まえると、十分に良好な結果といえます。

Reverse Nullも広い範囲で明確に出ており、クロスオーバー付近の位相整合が良好であることが確認できました。
総合的に見て、シミュレーション段階で意図した設計通りの動作が得られており、特に大きな問題は見られません。
DIY Loudspeaker Builder's Meeting 2025への参加を通じての感想
今年のMeetingも多彩な作品が揃い、それぞれの設計思想や音作りを間近で聴き比べられる充実したイベントでした。

時間の都合で全作品を聴くことはできませんでしたが、今回の課題曲・白鳥英美子さんの「さくら(独唱)」では、各スピーカーの表現の違いが特に感じられました。
歌声が力強くなる部分で少しハスキー気味に表現されるスピーカーもあれば、しっとりと伸びやかに歌い上げるスピーカーもあり、その違いが印象的でした。
私のスピーカーはどちらかというと前者で、主催の鈴木さんのスピーカーは後者のタイプに感じました。おそらく後者の鳴らし方がより自然で理想に近いのだと思います。 この違いが明確に分かる課題曲だったという点で、選曲は非常に良かったと思います。
課題曲を試聴した段階で、すでにこの傾向には気づいていたのですが、その調整の時間が取れず、課題を残したままの出展となりました。今後の調整で改善したい部分です。
さて私のスピーカーについての感想ですが、力を入れたパッシブラジエーターの調整は狙いどおりに仕上がったと感じます。 バスレフ型に比べると再生可能最低周波数はやや高めにはなりますが、12cmという小さなウーファーながら量感の不足はなく、タイトで勢いのある低音が得られたと思います。
昨年のアニソンオーディオフェスで気になっていたエコー感もほとんど感じられず、この点は吸音材の配置の改善がしっかり反映されたと感じました。
音場表現に関しても肯定的な意見をいただきました。私も聴いていて空間表現や音の広がりは自然だと感じており、整った指向性やクロスオーバー付近の位相の整合など、クロスオーバーネットワークの設計で特に意識した部分の成果が出たと思います。
一方で課題を感じたのは高域です。PIRを-0.97dB/octで整えましたが、やや耳に刺さる印象がありました。
いただいた感想でも高域の荒さを指摘されており、これがあのハスキー気味な鳴り方に関係しているのかはわかりませんが、-1.05〜-1.1dB/oct程度まで落として、より自然なバランスを探ってみたいと思います。
イベントでさまざまなスピーカーを聴き比べる中で、自分のこれまでの作品はどちらかといえばモニター的な、メリハリの効いた方向性が多かったと改めて感じました。
今後はもう少し「しっとりと歌を聴かせる」方向のスピーカーづくりにも挑戦してみたいと思います。 (進行中の3wayスピーカーでは実現できないかもしれませんが、いずれ実現したいテーマです。)
AudiFillのカノン5Dさんの書かれた試聴記もぜひご覧ください。
当日の発表スライドはこちらに公開しています。
DIY Loudspeaker Builder's Meeting 2025での選曲リスト
| 順 | 曲名 | アーティスト名 |
|---|---|---|
| 1 [課題曲] | さくら(独唱) | 白鳥英美子 |
| 2 | BOW AND ARROW | 米津 玄師 |
| 3 | あんなに一緒だったのに | See-Saw |
| 4 | オーメンズ・オブ・ラブ | 松田 彬人 |
| 5 | 勇者 | YOASOBI |
| 6 | そして伝説へ… | すぎやま こういち / 東京都交響楽団 |
選曲はアニソン中心にしましたが、年代を散らして、できるだけ広く知られた楽曲を選ぶよう意識しました。 そのおかげか、「選曲が良かった」と回答してくださる方も多く、時間をかけた甲斐があったと感じます。
次回予告
高域のバランスを整えるため、定数を見直したクロスオーバーネットワークを設計中です。 もう少し自然で聴きやすい音になるよう調整していきます。
完成まで少し時間がかかると思いますが、気長にお待ちください。